愛車にいつの間にかついている傷。
この小さな傷が、実は大きなトラブルの原因になるかもしれません。
「車の擦り傷はどれくらいで錆びる?」や「車の傷は放置すると何日で錆びるの?」といった疑問は、多くのドライバーが抱く不安でしょう。
実際、気づいた時には錆が浮いてきたというケースも少なくありません。
錆の進行速度は、傷の深さや環境によって大きく変わり、特に錆が発生しやすい時期はいつかを知っておくことも大切です。
この記事では、車についた傷が錆びるまでの時間に関する様々な疑問にお答えします。
簡単な傷深さの見分け方から、もしもの時に役立つ錆止めの応急処置、さらには応急処置テープの正しい使い方まで、幅広く解説します。
また、傷サビを自分で修理する方法や、小さいサビ取りの料金、高額になりがちなドアの錆修理費用についても具体的に掘り下げていきます。愛車の価値を維持し、失敗や後悔を避けるためにも、ぜひ最後までお読みください。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
- 傷が錆に変わるまでの具体的な期間
- 傷の深さを見分ける簡単なチェック方法
- 自分で行う応急処置とサビ取りの手順
- 業者に依頼した場合の修理費用の目安
車の傷が錆びるまでの時間は環境や深さで変わる

- 車の擦り傷はどれくらいで錆びる?
- 車の傷は放置すると何日で錆びるのか
- 錆の進行速度は傷の深さで変わる
- 簡単な傷の深さの見分け方
- 錆が発生しやすい時期はいつか知っておこう
車の擦り傷はどれくらいで錆びる?

車の擦り傷が錆びるまでの期間は、傷の深さや車の保管状況、そしてお住まいの地域の気候によって大きく異なるため、一概に「何日で錆びる」と断言することはできません。
理由として、車のボディは塗装によって錆から守られているからです。
塗装表面のクリア層だけの浅い傷であれば、すぐに錆びることはまずないでしょう。しかし、塗装が剥がれて鉄板がむき出しになってしまうと、錆の発生条件が整ってしまいます。
具体例を挙げると、雨に濡れたり、湿度が高かったりする環境では、鉄板が露出してからわずか数時間で表面が酸化し始め、24時間も経てば赤錆として目で確認できるようになるケースも珍しくありません。
一方で、乾燥した天候が続き、ガレージ内で保管されている車であれば、同じ深さの傷でも錆の発生が遅くなる傾向にあります。
小さな飛び石のような傷でも、放置すれば2週間ほどで錆が目立ち始めることがあります。
したがって、傷がついた場合は「まだ大丈夫」と油断せず、傷の深さを確認し、早めに対処することが愛車を錆から守るための鍵となります。
車の傷は放置すると何日で錆びるのか

車の傷を放置した場合、錆が発生するまでの日数は、前述の通り、傷が塗装の下地である鉄板にまで達しているかどうかで決まります。鉄板が露出している傷であれば、非常に短期間で錆び始める可能性があります。
なぜなら、車のボディに使われている鋼板は、空気と水分に触れるとすぐに酸化、つまり錆のプロセスが始まるからです。
特に日本の気候は湿度が高いため、錆の進行に適した環境と言えます。
例えば、雨が降った翌日など、水分が豊富な条件下では、傷ついたその日のうちに薄っすらと錆が浮き始め、数日もすればはっきりと赤茶色の錆として認識できる状態になることも十分に考えられます。
実際にブレーキディスクが雨の日に一日で錆びるのと同じ原理です。ボディには防錆処理が施されていますが、傷によってそのバリアが破壊されると、錆の発生は避けられません。
これらのことから、たとえ小さな傷であっても、鉄板が見えている場合は「何日持つか」と様子を見るのではなく、その日のうちにでも応急処置を施すことが、深刻な錆への進行を防ぐ上で大切です。
錆の進行速度は傷の深さで変わる

錆の進行速度は、傷の深さに直接的に関係しています。浅い傷と深い傷とでは、錆びるまでの時間やその後の広がり方が全く異なるため、傷の深さを理解することが大切です。
車のボディ塗装は、表面から「クリア層」「カラー層」「下地(防錆処理層)」「鉄板」という複数の層で構成されています。
この層構造が、ボディを錆や紫外線から守る役割を果たしているのです。
浅い傷の場合
クリア層やカラー層にとどまる浅い擦り傷の場合、下地の防錆処理層がまだ機能しているため、すぐに錆が広がることはほとんどありません。ただし、防錆処理層が露出した状態は塗装面よりも弱いため、長期間放置すればいずれ錆びる可能性は残ります。
深い傷の場合
問題となるのは、下地を貫通して鉄板が完全に露出してしまった深い傷です。この状態では、鉄板が直接、雨水や空気中の湿気にさらされるため、錆の発生と進行が一気に加速します。一度発生した錆は、塗装の内側へ内側へと潜り込むように侵食していきます。これにより、最初は小さな点だった錆が、気づいた時には広範囲に広がり、塗装を浮き上がらせる原因となるのです。
このように、錆の進行速度は塗装のバリアがどれだけ破壊されているか、つまり傷の深さに大きく左右されると言えます。
簡単な傷の深さの見分け方

車の傷がどの程度の深さなのかを自分で判断できれば、すぐに対処すべきかどうかの目安になります。
専門的な道具がなくても、比較的簡単に見分ける方法がいくつか存在します。
まず試せるのが、傷の部分を水で濡らしてみる方法です。
水をかけた時に傷が見えなくなるようであれば、それは塗装の一番表面にあるクリア層だけの非常に浅い傷である可能性が高いです。
この場合、急いで修理しなくても錆びる心配はほとんどないと考えられます。
一方で、水で濡らしても傷がはっきりと残る場合は、カラー層やそれより深い層までダメージが及んでいるサインです。
次にもう少し分かりやすい判断基準として、傷を爪で軽くこすってみる方法があります。
爪が全く引っかからないようであれば浅い傷です。
しかし、爪が明らかにカリッと引っかかる感触がある場合、塗装が削れて段差ができている証拠であり、下地や鉄板にまで達している深い傷の可能性が高まります。
これらの方法で「深い傷かもしれない」と判断した場合は、放置すると錆が進行するリスクが高いため、早急な応急処置や専門業者への相談が賢明です。
自己判断で「大丈夫だろう」と放置することが、後々の高額な修理につながる危険性をはらんでいます。
錆が発生しやすい時期はいつか知っておこう

車の錆は一年を通して発生する可能性がありますが、特に注意が必要な時期が存在します。
これらの時期を認識し、対策を講じることが愛車のコンディションを保つ上で役立ちます。
主に、錆が発生しやすいのは以下の二つのシーズンです。
梅雨から夏にかけて(高温多湿の時期)
日本は世界的に見ても湿度が高い国ですが、特に梅雨から夏にかけては気温と湿度がともに上昇します。この高温多湿の環境は、金属の酸化を促進し、錆を発生させる絶好の条件となります。鉄バクテリアの活動も活発になると言われており、傷ついたボディにとっては非常に過酷な季節です。
冬季(融雪剤が使用される時期)
冬場は空気が乾燥しているため錆びにくいと思われがちですが、雪国では大きなリスクが潜んでいます。路面の凍結防止のために撒かれる融雪剤の主成分は塩化カルシウムや塩化ナトリウム、つまり「塩」です。この塩分が溶けた雪水とともにボディの下回りや傷口に付着すると、強力に錆の発生と進行を促します。また、冬でも車内外の温度差で結露が発生し、水分が傷口にとどまることで錆の原因となり得ます。
このように、特定の季節や環境が錆のリスクを高めることを理解し、特にこれらの時期にはこまめな洗車や傷のチェックを心がけることが大切です。
車の傷が錆びるまでの時間と対処法・修理費用
- 気づいたら錆が浮いてきた時の注意点
- まずは錆止めで応急処置をしよう
- 応急処置テープの活用法と注意点
- 傷サビを自分で直す手順とポイント
- 小さいサビ取り料金とドアの錆修理費用
- まとめ:車の傷が錆びるまでの時間を知り早めの対処を
気づいたら錆が浮いてきた時の注意点

車のボディに茶色い錆が浮いてきたのを発見した場合、見た目以上に事態が進行している可能性を考慮する必要があります。
表面に見える錆は、氷山の一角かもしれないからです。
錆は塗装の表面から発生するだけでなく、傷口から侵入した水分によって塗装の内側、鉄板の表面で広がる性質があります。
この場合、塗装が膜となって内部の様子を隠してしまうため、外見上は小さな錆に見えても、その下では広範囲にわたって腐食が進んでいるケースが少なくありません。
塗装がプクッと浮き上がっているような状態は、内部で錆が広がっている典型的なサインです。
このような状態で錆取りをせずに上から塗装をしても、全く意味がありません。
内部で生き残った錆はさらに進行し、やがて補修した塗装ごと剥がれ落ちてしまいます。
したがって、錆が浮いてきたことに気づいたら、「これくらいなら大丈夫」と安易に考えず、まずは錆の範囲を慎重に確認することが大切です。
錆が少しでも広がっている様子が見られる場合や、塗装の浮きが見られる場合は、自分で完全に取り除くのは難しいため、プロの板金塗装業者に相談することをおすすめします。
早期の対応が、修理範囲の拡大と費用の高騰を防ぐことに繋がります。
まずは錆止めで応急処置をしよう

車の傷から錆が発生するのを防いだり、すでに見つけた錆の進行を一時的に食い止めたりするために、自分で行う錆止めの応急処置は非常に有効な手段です。
すぐに修理に出せない場合でも、適切な処置を施すことで、その後の修理費用を大きく抑えられる可能性があります。
応急処置の最大のメリットは、鉄板が空気や水分に直接触れるのを防ぎ、錆の発生・進行を遅らせることができる点です。
これにより、本格的な修理を行うまでの時間を稼ぐことができます。
ただし、応急処置には注意点も存在します。
これはあくまで一時的な対策であり、恒久的な修理ではないという認識が不可欠です。
例えば、錆の上からただタッチペンを塗るだけでは、内部で錆が進行してしまい、逆効果になることもあります。正しい手順で処置を行わないと、状態を悪化させてしまうリスクも伴います。
具体的な応急処置としては、傷口の汚れをきれいに落とした後、錆止め効果のあるタッチペンやスプレーを塗布する方法が一般的です。
もし既に錆が発生している場合は、錆をできる限り除去してから防錆剤を塗る必要があります。
応急処置テープの活用法と注意点

車の傷の応急処置として、専用の保護テープ(クリアテープなど)を貼る方法も手軽で効果的です。
特に、すぐに塗装などの処置ができない場合に、一時的に傷口を保護する目的で役立ちます。
活用法
応急処置テープの主な役割は、傷口に雨水やホコリ、汚れが付着するのを防ぐことです。
これにより、錆の発生原因となる水分や不純物から鉄板を物理的にガードできます。
洗車時などに水が入るのも防げるため、きれいな状態を保ったまま修理に出すことが可能になります。
使用する際は、傷とその周辺の汚れをきれいに拭き取り、空気が入らないように密着させて貼るのがポイントです。
注意点
一方で、テープの使用にはいくつかの重要な注意点があります。
最もやってはいけないのが、ガムテープやビニールテープといった専門外のテープで代用することです。
これらのテープは、剥がす際に粘着剤がボディに残り、塗装を傷める原因になります。
また、防水性が不十分でテープとボディの間に水分が入り込み、逆に湿気を閉じ込めて錆を助長する危険性すらあります。
応急処置テープは、あくまで本格的な修理を行うまでの数日間から1週間程度の「つなぎ」として使用するものです。
長期間貼りっぱなしにすると、テープ自体の劣化や糊の固着を引き起こす可能性があるため、できるだけ早く専門業者に修理を依頼しましょう。
傷サビを自分で直す手順とポイント

軽微な傷や発生したばかりの小さな錆であれば、市販の補修用品を使って自分で修理することも可能です。
費用を抑えられるのが最大のメリットですが、正しい手順を踏まないと失敗するリスクもあるため、作業は慎重に行う必要があります。
以下に、一般的なDIYでの修理手順とポイントを解説します。
STEP1: 周辺の保護(マスキング)
まず、作業箇所以外に傷や薬剤がつかないように、補修する傷の周囲をマスキングテープでしっかりと保護します。この工程を丁寧に行うことで、仕上がりのきれいさが大きく変わります。
STEP2: 汚れ落としとサビ取り
次に、シリコンオフなどの脱脂剤を使って、傷とその周辺の油分や汚れを完全に取り除きます。すでに錆が発生している場合は、サンドペーパーやサビ取り剤を使って、錆が見えなくなるまで丁寧に削り落とします。このとき、錆が残っていると再発の原因になるため、根気よく作業することが大切です。
STEP3: 防錆処理
サビを落として鉄板が露出した部分に、錆の再発を防ぐための錆止め剤(防錆プライマー)を塗布します。スプレータイプや筆塗りタイプがあるので、範囲に応じて使い分けましょう。
STEP4: 塗装(タッチペンなど)
防錆剤が完全に乾いたら、ボディカラーに合ったタッチアップペンで塗装します。一度に厚く塗ろうとせず、薄く塗り重ねて乾燥させるのを繰り返すのがコツです。塗料が盛り上がってしまった場合は、乾燥後に目の細かい耐水サンドペーパーで平らにならします。
STEP5: 仕上げ
最後に、コンパウンド(研磨剤)を使って塗装面を磨き、周囲の塗装との境目を目立たなくさせ、ツヤを出せば完成です。さらにコーティング剤を施工すると、塗装面を保護する効果が高まります。
DIY修理は、爪の大きさ程度の小さな範囲に留めておくのが賢明です。範囲が広い場合や凹みを伴う場合は、きれいに仕上げるのが難しいため、プロに任せることをおすすめします。
必要な道具・材料 | 用途 |
マスキングテープ | 周囲の保護 |
シリコンオフ(脱脂剤) | 油分・汚れの除去 |
サビ取り剤・サンドペーパー | 錆や古い塗装の除去 |
防錆プライマー(錆止め剤) | 錆の再発防止 |
タッチアップペン | 色の塗装 |
コンパウンド(細目・極細) | 塗装面の研磨・ツヤ出し |
ウエス・クロス | 拭き取り・塗り込み |
小さいサビ取り料金とドアの錆修理費用

車の錆修理にかかる費用は、錆の大きさ、深さ、発生している場所によって大きく変動します。
特に、ドアのように構造が複雑な部分は高額になる傾向があります。
小さいサビ取りの料金
指の爪程度の小さな錆であれば、比較的安価に修理が可能です。板金塗装業者に依頼した場合、サビ取りと部分的な塗装で、おおよそ1万円から3万円程度が費用相場と考えられます。
ディーラーに依頼すると、品質は安定していますが、費用は少し高めになることが一般的です。
ドアの錆修理費用
ドアに発生した錆の修理は、状態によって費用が大きく変わります。
- 軽度の錆: 表面的な錆で、範囲も狭い場合は、前述の小さいサビ取り料金と同様、2万円から5万円程度で修理できる可能性があります。
- 中程度の錆: 塗装が浮き上がり、内部で錆が広がっている場合は、広範囲の塗装剥離とサビ取り、そして再塗装が必要になるため、5万円から10万円程度の費用がかかることもあります。
- 重度の錆(穴あきなど): 錆が進行してドアパネルに穴が開いてしまった場合は、鉄板を溶接して穴を埋めるなどの大掛かりな作業が必要になります。このレベルになると、修理費用は10万円を超えることも珍しくなく、場合によってはドアパネル自体の交換を勧められることもあります。ドア交換となると、部品代と工賃で10万円から20万円以上かかることも想定されます。
以下は、依頼先ごとの費用感の目安です。
修理箇所 | 状態 | ディーラー | 板金塗装業者 | カー用品店 |
ボディ | 小さなサビ(数cm) | 20,000円~ | 15,000円~ | 18,000円~ |
ドア | 中程度の錆 | 60,000円~ | 50,000円~ | 55,000円~ |
ドア | 穴あき・腐食 | 100,000円~<br>(交換推奨も) | 80,000円~<br>(溶接・板金) | 対応不可の場合あり |
※上記はあくまで目安であり、車種や塗装の種類、店舗によって価格は異なります。
このように、錆を放置すればするほど修理は複雑になり、費用も高騰します。
錆を見つけたら、できるだけ早い段階で専門業者に見積もりを依頼することが、最終的な出費を抑える最善の方法です。
まとめ:車の傷が錆びるまでの時間を知り早めの対処を

この記事では、車の傷が錆びるまでの時間や、その対処法、修理費用について詳しく解説してきました。最後に、今回の重要なポイントをまとめます。
- 傷が錆びるまでの時間は傷の深さと環境に左右される
- 鉄板が露出した傷は早ければ1日で錆び始める
- 浅い傷か深い傷かは水や爪で簡単に見分けられる
- 錆の進行速度は塗装の下地が露出しているかで決まる
- 高温多湿の夏と融雪剤を使う冬は特に錆びやすい
- 表面に見える錆は内部で広がっている可能性がある
- 錆が浮いてきたら見た目以上に深刻な場合がある
- 応急処置は本格修理までの錆の進行を遅らせる
- 錆止めやタッチペンでのDIY修理も可能
- 応急処置にガムテープを使うのは避けるべき
- DIYでの修理は自己責任で小さな範囲に留める
- 小さいサビ取りでも1万円以上の費用がかかることがある
- ドアの錆修理は高額になりがちで状態によっては10万円を超える
- 修理費用は錆の進行度合いに比例して高くなる
- 傷を見つけたら放置せず早めに専門家へ相談する