トヨタのコンパクトカーとしてよく比較される「タンク」と「ルーミー」
結局のところ、タンクとルーミーはどっちが人気なのでしょうか。
この記事では、多くの方が抱える疑問に答えるため、タンクとルーミーの違いを徹底的に解説します。
スポーティな外観とラグジュアリーな外観、それぞれの違いや車体はどっちが大きいのか、そして中古車も含めるとタンクとルーミーはどっちが安いのか、気になる点は多いはずです。
また、そもそもベースとなっているトール、タンク、ルーミーの違いや、兄弟車であったタンクがなぜなくなったのかという生産終了の背景にも迫ります。
さらに、ルーミーとタンクに7人乗りの設定はあるのか、購入前に知っておきたいトヨタのルーミーの欠点は何ですか?といった具体的な疑問にもお答えします。
加えて、強力なライバルであるソリオとルーミーはどっちが人気なのかという販売状況や、ルーミーとタンクの新車価格についても比較し、後悔しない車選びをサポートします。
この記事を読むことで、以下の点が明確になります。
- タンクとルーミーの販売台数から見る人気の違い
- 外観・価格・燃費など項目別の明確な比較
- タンクが生産終了した理由と中古車選びのポイント
- ルーミーの欠点やライバル車との関係性
タンクとルーミーはどっちが人気?販売実績で比較
- そもそもタンクとルーミーの違いとは?
- トール、タンク、ルーミーの違いも解説
- 兄弟車であるタンクはなぜなくなった?
- タンクとルーミー違いは外観?どっちが大きい?
- ライバルのソリオとルーミーはどっちが人気?
そもそもタンクとルーミーの違いとは?

タンクとルーミーは、基本的には同じ構造を持つ兄弟車です。
そのため、どちらを選んでも走行性能や室内の広さといった基本的なスペックに大きな差はありません。
この2台のベースとなっているのは、トヨタの子会社であるダイハツが開発・製造するコンパクトトールワゴン「トール」です。
ダイハツが製造した車両を、トヨタが自社ブランドの車として販売する「OEM供給」という形をとっていました。
したがって、エンジンやプラットフォーム(車の骨格)は共通であり、乗り心地や使い勝手も非常に似ています。
では、主な違いはどこにあるのでしょうか。
最も分かりやすい点は「外観デザイン」、特にフロントマスクの印象です。
また、当初はトヨタの販売チャネル(販売店の系列)によって取り扱い車種が分かれていました。
そして、現在における最大の違いは、タンクが2020年9月に生産を終了し、ルーミーに統合されたという点です。
これにより、新車で購入できるのはルーミーのみとなっています。
トール、タンク、ルーミーの違いも解説

「トール」「タンク」「ルーミー」の関係性を理解することは、これらの車種を比較する上で非常に大切です。
前述の通り、これら3車種の製造元はすべてダイハツであり、ダイハツの「トール」がオリジナルモデルとなります。
このトールをベースに、トヨタ向けに供給されたのが「タンク」と「ルーミー」です。
さらに、スバルにも「ジャスティ」という名前で供給されており、これら4車種は「4兄弟」とも呼ばれる関係にあります。自動車業界でこのようなOEM供給が行われる理由は、開発や製造にかかるコストを抑えながら、各メーカーが自社の販売網を活かしてラインナップを拡充できるというメリットがあるためです。
ユーザーにとっては、基本的な性能は同じでありながら、デザインやブランドの好みで選べるという利点があります。
それぞれの車種でエンブレムやフロントグリルのデザインが異なるため、性能面での差はほとんどありませんが、見た目の印象で好みの1台を選択することが可能です。
兄弟車であるタンクはなぜなくなった?
タンクが生産終了し、ルーミーに統合された背景には、トヨタの販売戦略の大きな転換が関係しています。
その理由は、2020年5月からトヨタが国内の全販売店(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)で、原則として全ての車種を取り扱う「全車種併売化」を開始したためです。
それ以前は、ルーミーはトヨタ店とカローラ店、タンクはトヨペット店とネッツ店というように、販売チャネルごとに扱える車種が決まっていました。
しかし、併売化によってどの販売店でも両方の車種を比較検討できるようになると、もともと販売台数で上回っていたルーミーに人気がさらに集中するようになりました。
ほぼ同じスペックの兄弟車を2種類維持し続けるよりも、人気のある一方に集約する方が販売戦略上効率的です。
このような理由から、2020年9月のマイナーチェンジを機に、タンクはルーミーに統合される形でその役目を終えることになりました。
ちなみに、タンクのカスタムグレードが持っていたスポーティなフロントデザインの一部は、マイナーチェンジ後のルーミーのカスタムグレードに引き継がれています。
タンクとルーミー違いは外観?どっちが大きい?

タンクとルーミーの最も大きな違いは、やはり外観のデザイン、特にフロントマスクにあります。
どちらを選ぶか決める際の最も重要な判断材料になると考えられます。
ルーミーは、大きな逆台形のフロントグリルが特徴で、メッキ加飾を多用することにより、ミニバンのような重厚感とラグジュアリーな印象を与えます。品格や存在感を重視する方に好まれるデザインです。
一方のタンクは、台形のロアグリル(下部のグリル)を強調したデザインで、ヘッドライトもシャープな形状をしています。これにより、低重心でスポーティ、そして軽快な印象を受ける仕上がりです。
では、車体の大きさ(サイズ)に違いはあるのでしょうか。以下の表で比較してみましょう。
項目 | ルーミー | タンク |
全長 | 3,700mm ~ 3,725mm | 3,700mm ~ 3,715mm |
全幅 | 1,670mm | 1,670mm |
全高 | 1,735mm | 1,735mm |
室内長 | 2,180mm | 2,180mm |
室内幅 | 1,480mm | 1,480mm |
室内高 | 1,355mm | 1,355mm |
表の通り、全幅、全高、そして室内の寸法は全く同じです。
全長のみ、エアロパーツが付くカスタムグレードでわずかな差がありますが、その差は最大でも10mm(1cm)程度です。
したがって、運転のしやすさや駐車時の取り回しなど、実用面で大きさの違いを感じることはほぼないと言えます。
ライバルのソリオとルーミーはどっちが人気?
コンパクトトールワゴン市場において、ルーミー(および旧タンク)の最大のライバルとなるのがスズキの「ソリオ」です。では、ソリオとルーミーはどっちが人気なのでしょうか。
販売台数で比較すると、一貫してルーミーの方が優勢です。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表する販売台数ランキングでは、ルーミーは常に上位にランクインしており、2023年には登録車(普通車)の中で年間販売台数1位を記録するなど、圧倒的な人気を誇ります。
ただ、これはソリオに魅力がないということではありません。
ソリオは、スズキ独自の「マイルドハイブリッドシステム」を搭載しており、燃費性能ではルーミーを上回るグレードも存在します。また、室内空間の設計にも定評があり、特に後部座席の足元空間の広さは特筆すべき点です。
ルーミーがトヨタの強力な販売網と、ミニバンを彷彿とさせる存在感のあるデザインで幅広い層から支持を集めているのに対し、ソリオは優れた燃費性能と実用性で根強いファンを獲得しています。
どちらが優れているかというよりも、デザインの好みや燃費への要求度によって、どちらを選ぶかが変わってくると言えます。
タンクとルーミーはどっちが人気?購入時のポイントを比較
- ルーミーとタンクの新車価格を比較
- 結局どっちが安い?
- トヨタのルーミーの欠点は何ですか?
- タンクとルーミーに7人乗りはある?
ルーミーとタンクの新車価格を比較
新車価格について比較しますが、前述の通り、タンクは2020年9月に生産を終了しているため、現在は新車での購入はできません。
ここでは、ルーミーの現行モデルの新車価格と、タンクが販売されていた当時の価格を比較します。
車種 | グレード | 駆動方式 | 価格(税込) |
ルーミー | X | 2WD | 1,566,500円 |
G | 2WD | 1,753,500円 | |
カスタムG | 2WD | 1,924,000円 | |
G-T | 2WD | 1,879,500円 | |
カスタムG-T | 2WD | 2,100,000円 | |
タンク (生産終了時) | X | 2WD | 1,463,400円~ |
G | 2WD | 1,684,800円~ | |
カスタムG | 2WD | 1,820,800円~ | |
G-T | 2WD | 1,803,600円~ | |
カスタムG-T | 2WD | 1,965,600円~ |
※ルーミーは2024年時点、タンクは2020年時点の価格帯の目安です。4WDモデルは価格が異なります。
この表から、両車は兄弟車であるため、販売されていた当時はほぼ同じ価格帯で設定されていたことが分かります。
マイナーチェンジによる安全装備の強化などを経て、現在のルーミーは価格が少し上昇していますが、基本的な価格戦略に大きな違いはありませんでした。購入の際は、グレードや必要なオプションによって価格が変動します。
結局どっちが安い?

新車ではルーミーしか選択肢がありませんが、中古車市場に目を向けると話は変わります。
では、中古車の場合、タンクとルーミーはどっちが安いのでしょうか。
多くの場合、タンクの方がルーミーよりも安価な傾向にあります。
その理由はいくつか考えられます。
第一に、タンクは2020年に生産が終了しているため、市場に出回っている車両の年式がルーミーに比べて必然的に古くなります。年式が古いほど価格は下がるのが一般的です。
第二に、市場での人気も価格に影響します。
販売台数が多かったルーミーは中古車市場でも需要が高く、価格が維持されやすい傾向があります。
一方、タンクはルーミーに比べて需要が若干落ち着いているため、同じような年式や走行距離の車両で比較した場合でも、お買い得な価格で見つかる可能性が高いです。
したがって、基本的な性能は同じであることを踏まえると、購入費用を少しでも抑えたい、コストパフォーマンスを重視したいという方にとっては、中古のタンクを探すのが賢い選択肢になるかもしれません。
トヨタのルーミーの欠点は何ですか?

絶大な人気を誇るルーミーですが、購入を検討する上では長所だけでなく、短所や注意点についてもしっかりと把握しておくことが大切です。
トヨタのルーミーの欠点は何ですか?という問いに対しては、いくつかの点が挙げられます。
一つ目は、NA(ノンターボ)エンジンモデルの加速性能です。排気量1.0Lのエンジンは、街乗りでは十分な性能を発揮しますが、乗車人数が多い時や、高速道路の合流、急な上り坂などではパワー不足を感じる場面があるかもしれません。力強い走りを求めるのであれば、ターボエンジン搭載グレードの検討をおすすめします。
二つ目に、内装の質感です。価格を抑えるため、内装にはプラスチック素材が多く使われており、一部のユーザーからは「軽自動車のようだ」という意見も見られます。豪華さや高級感を求める方には、少し物足りなく感じる可能性があります。
三つ目は、高速走行時の安定性です。ルーミーは全高が高いトールワゴン形状のため、横風の影響を受けやすいという特性があります。特に高速道路などでは、風の強い日にハンドルがとられる感覚を覚えることがあるかもしれません。
これらの点は、ルーミーが「コンパクトなサイズで最大限の室内空間と使い勝手を実現する」というコンセプトのもと、価格とのバランスを考慮して設計された結果とも言えます。
ご自身の使い方や重視するポイントと照らし合わせて、これらの欠点が許容範囲内かどうかを判断することが鍵となります。
タンクとルーミーに7人乗りはある?

コンパクトながら広い室内空間が魅力のタンクとルーミーですが、「もしかして3列シートの7人乗り仕様もあるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
この疑問に対する答えは明確で、タンクとルーミーに7人乗りの設定は存在しません。
どちらの車種も、乗車定員は5人のみです。
その理由は、車体のサイズにあります。両車の全長は約3.7mと非常にコンパクトに設計されています。
このサイズで3列目のシートを設置し、大人が安全かつ快適に乗車できるスペースを確保することは物理的に不可能です。
もしご家族の人数が多いなどの理由で7人以上の乗車定員が必要な場合は、トヨタのラインナップであれば「シエンタ」や「ノア」「ヴォクシー」といったミニバンを検討する必要があります。
タンクとルーミーは、あくまで5人乗りまでの使用を前提とした、取り回しの良さと広い室内空間を両立させた車であると理解しておくことが大切です。
この記事では、「タンクとルーミーはどっちが人気か」という疑問を中心に、様々な角度から両車を比較してきました。
最後に、重要なポイントをまとめます。
- タンクとルーミーはダイハツ・トールをベースとする兄弟車
- 販売台数では一貫してルーミーの方が人気が高い
- タンクは2020年9月に生産を終了しルーミーに統合された
- 生産終了の背景にはトヨタの全車種併売化がある
- 最も大きな違いはフロントグリルを中心とした外観デザイン
- ルーミーは重厚感、タンクはスポーティな印象を与える
- 室内空間や基本スペックに大きな差はない
- サイズもほぼ同じで実用上の違いは感じられない
- 新車で購入できるのはルーミーのみとなっている
- 中古車市場ではタンクの方が安価な傾向にある
- 予算を抑えたいなら中古のタンクが有力な選択肢
- ルーミーの欠点として加速性能や内装の質感が挙げられる
- 7人乗りの設定はどちらのモデルにも存在しない
- ライバル車のソリオは燃費性能で強みを持つ
- 最終的にはデザインの好みと予算で選ぶことが大切
以上、この記事が参考になれば幸いです。