セルフのガソリンスタンドで空気圧チェックをしたいけれど、具体的な頼み方がわからなくて困っていませんか。
「セルフなんだから自分でやるのが当たり前なのかな」
「忙しそうな店員さんに声をかけたら迷惑かも」と考えてしまい、結局そのまま帰ってしまう……そんな経験、誰にでもありますよね。
実は、セルフスタンドであっても、手順さえ知っていれば誰でも簡単に、そして気まずい思いをすることなく空気圧の点検をお願いすることができるのです。
タイヤの空気圧管理は、燃費や乗り心地だけでなく、バーストなどの事故を防ぐための命綱とも言える重要なメンテナンスです。
この記事では、店員さんに快く引き受けてもらえるスマートな依頼方法やマナー、タイミングについて、徹底的に深掘りして解説します。
さらに、自分で挑戦する場合の機械の操作方法までを完全網羅しました。

これを読めば、もう空気圧のことで悩むことはなくなりますよ。
- 店員さんに「常識ある人だな」と思われるスマートな依頼方法と会話例
- 気になる「チップ」の要不要や、サービスが無料である本当の理由
- 自分で空気を入れる場合に知っておくべき3種類の機械の操作手順
- 安全走行に欠かせない適正空気圧の確認場所と、プロが推奨する点検頻度

セルフ式のスタンドが増えたことで、昔のように
「窓を拭きましょうか?」
「灰皿は大丈夫ですか?」
とスタッフの方から声をかけてもらえる機会がめっきり減ってしまいましたよね。
そのため、「セルフなのに店員さんを呼んで作業させていいのかな?」と遠慮してしまう気持ち、痛いほどよく分かります。
しかし、結論から言えば、基本のマナーさえ押さえておけば全く遠慮する必要はありません。
ここでは、店員さんに依頼する際の基本的なルールや、業界の裏側から見た「頼みやすい理由」について詳しく見ていきましょう。
空気圧点検は基本的に無料か有料か
「人に作業を頼むのだから、工賃がかかるんじゃないの?」と不安に思う方も多いですが、結論から言うと、日本のガソリンスタンドにおいて空気圧点検は基本的に「無料」で行われています。
これはフルサービスの店舗はもちろん、セルフスタンドであっても変わりません。
なぜ無料で対応してくれるのか?
「タダより高いものはない」なんて言葉もありますが、ガソリンスタンドが無料で空気圧点検を行うのには、しっかりとしたビジネス上の理由があります。
それは、空気圧点検が店舗にとって「お客様との貴重な接点(タッチポイント)」だからです。
セルフスタンドでは、お客様が車から降りて自分で給油を行うため、スタッフが車の状態を見るチャンスがほとんどありません。
しかし、「空気圧を見てください」と依頼されれば、スタッフは合法的にタイヤの状態を間近でチェックすることができます。
そこでタイヤの摩耗やひび割れ、残り溝の減少などを発見できれば、「そろそろタイヤ交換の時期ですね」と提案するきっかけが生まれますよね。
つまり、私たちユーザーが点検を依頼することは、お店にとっても「タイヤ販売という営業のチャンス」を提供していることになるのです。
だからこそ、スタッフの方は嫌な顔をするどころか、むしろ「ありがとうございます!」という気持ちで対応してくれるんですよ。

有料になるレアケースを知っておこう
基本は無料ですが、例外的に料金が発生するケースも存在します。
いざという時に驚かないよう、頭の片隅に入れておいてください。
- 最新の高機能洗車場など: コイン式の有料エアコンプレッサー(5分100円など)が設置されている場合があります。
- 窒素ガスの充填: 通常の空気ではなく、抜けにくい「窒素ガス」を入れる場合は、タイヤ1本あたり500円前後の料金がかかるのが一般的です。
- 明らかな作業依頼: 単なる補充ではなく、パンク修理やバルブコアの交換などを伴う場合は、当然ながら工賃が発生します。

ヒロシのワンポイントアドバイス
もし点検後にタイヤの購入を勧められたとしても、まだ交換するつもりがなければ「今回は空気圧だけで大丈夫です。検討しますね」とキッパリ断ってしまって大丈夫です。
それで気まずくなる必要はありませんよ。
店員へのチップは必要か不要か
海外旅行の経験がある方や、海外ドラマがお好きな方は、「サービスを受けたらチップを渡すべき?」と悩んでしまうかもしれませんね。
「ガソリンスタンド 空気圧 チップ」と検索される方も意外と多いのですが、日本のガソリンスタンドではチップは一切不要です。
日本のGSにおけるチップ事情
日本のサービス業全体に言えることですが、基本的にサービス料は商品の価格や運営コストに含まれています。
ガソリンスタンドのスタッフさんの給与体系も、チップをもらうことを前提には設計されていません。
むしろ、現金を渡そうとすると、店員さんを困らせてしまう可能性が高いです。
アルバイトスタッフの場合、お客様から個人的に現金を受け取ることが就業規則で禁止されていることも多く、「受け取れません」「いやいや、受け取ってください」という不毛なやり取りが発生してしまい、かえって業務の妨げになってしまうことも。
お金以上の「お礼」とは?
では、感謝の気持ちをどう伝えれば良いのでしょうか。
それはシンプルに「笑顔で『ありがとうございます』と伝えること」に尽きます。
炎天下の日も、凍えるような寒い日も、外で作業をしてくれるスタッフさんにとって、お客様からの「ありがとう、助かったよ」という一言は、何よりの励みになります。
また、作業がしやすいように停車位置を調整したり、ゴミを捨てたりしないといった「マナー」を守ることも、スタッフさんに対する最大のリスペクトになります。
チップよりも喜ばれる行動リスト
- 作業終了後に目を見て「ありがとうございます」と言う
- 混雑時は作業が終わったら速やかに車を移動させる
- 「またお願いしますね」と声をかけ、リピーターになる
給油時などの依頼するタイミング
「いつ頼めばいいの?」というタイミングの問題は、セルフスタンド初心者にとって最大の難関ですよね。
店員さんが見当たらないこともありますし、忙しそうに走り回っていることもあります。
ここでは、最もスマートで、かつ相手にも負担をかけないベストなタイミングを解説します。
最強のタイミングは「給油来店時の最初」
店員さんに声をかけるベストオブベストなタイミングは、「給油レーンに車を停め、給油操作を始める前」です。
なぜこのタイミングが良いかと言うと、給油中にスタッフが並行してタイヤの点検を行えるからです。
給油が終わる頃には点検も完了しているため、時間のロスがありません。
また、給油許可を出すモニターを監視しているスタッフに、「これから給油する客がいる」と認識されているタイミングなので、コンタクトが取りやすいというメリットもあります。
具体的なアクションとしては、車を降りて給油ノズルを手に取る前に、フィールドにいるスタッフに手を挙げて合図をするか、近くにいなければ給油機に付いているインターホンを押して呼び出しましょう。
「給油のついでにお願いしたい」というスタンスが、最も自然で心理的ハードルが低いですよ。
給油をしない「空気圧点検のみ」の場合
「ガソリンは満タンだけど、空気圧だけ気になる」という場合もありますよね。
もちろん、給油なしでの利用も可能ですが、少し配慮が必要です。
まず、混雑のピークタイム(土日の昼間や連休前など)は避けましょう。
給油待ちの行列ができている時に、空気入れだけでレーンを塞いでしまうのはマナー違反と取られかねません。
比較的空いている平日の日中や、土日でも夕方以降などを狙うのがおすすめです。
また、停車位置にも注意が必要です。
給油レーン(計量機の前)ではなく、「洗車後の拭き上げスペース」や「ピット(作業場)の前」などの邪魔にならない場所に車を停め、そこからスタッフに声をかけに行きましょう。
「給油はしないのですが、空気圧だけ見てもらえますか?」と最初に断りを入れれば、多くの店舗で快く対応してくれます。
注意!
店舗のレイアウトによっては、給油レーンにしか空気入れのホースが届かない場合もあります。
その際は、スタッフの指示に従って車を移動させてください。
夜間や早朝の利用に関する注意点
24時間営業のセルフスタンドが増えているので、「深夜のドライブついでに空気圧も見ておこうかな」と考える方もいるかもしれません。
しかし、深夜や早朝の空気圧点検は、断られる可能性が非常に高いということを覚えておきましょう。
なぜ夜間はNGな場合が多いのか?
これには、主に3つの理由があります。
- 騒音問題(近隣への配慮):
空気を入れるコンプレッサーという機械は、「ブーーン」「ガガガ」といった比較的大きな作動音を出します。住宅街にあるガソリンスタンドの場合、夜間にこの音を出すことは近隣トラブルの原因になるため、タイマーで電源を切っている店舗が多いのです。 - 安全性と視認性の問題:
夜間は手元が暗く、タイヤのバルブ位置が見えにくかったり、タイヤのひび割れや異物(釘など)の確認が不十分になったりするリスクがあります。不完全な作業は事故のもとになるため、安全管理上お断りしているケースがあります。 - スタッフの人員配置:
深夜帯は、法令で定められた最低限の人数(ワンオペなど)で店舗を回していることがほとんどです。スタッフは監視室で給油許可ボタンを押す業務に集中しなければならず、フィールドに出てサービスを行う余裕がない場合が多いのです。
どうしても夜間に必要な時は?
高速道路のサービスエリアにあるガソリンスタンドであれば、騒音の懸念が少ないため、24時間対応している確率が高いです。
しかし、一般道の店舗では期待できません。
「空気圧点検は日中の明るいうちに済ませるもの」と割り切って、計画的に行動しましょう。
店員への具体的な声かけ会話例
いざスタッフを目の前にすると、緊張して言葉が出ない…なんてことにならないよう、シチュエーション別の「会話スクリプト(台本)」を用意しました。
これをそのまま読み上げるつもりで言えば大丈夫です!

パターン1:給油のついでに頼む場合(王道)
最もスタンダードで、成功率100%の頼み方です。
「すみません、これから給油するんですけど、その間にタイヤの空気圧を見てもらえますか?」
これだけでOK。「ついでに」というニュアンスが、お互いの心理的負担を下げてくれます。
もし数値を指定したい場合は、「高めでお願いします」や「2.5キロ(250kPa)に合わせてください」と付け加えれば完璧です。
パターン2:インターホンで呼ぶ場合
フィールドに誰もいない時は、給油機についているインターホン(呼び出しボタン)を使いましょう。
これは緊急用ではなく、御用聞きのためのツールでもあります。
「すみません、給油前にタイヤの空気圧をお願いしたいのですが、スタッフの方に来ていただくことは可能ですか?」
モニター越しにこう伝えれば、「はい、ただいま伺います!」と返答が来るはずです。
パターン3:給油なしで頼む場合
少し申し訳なさを出しつつ、丁寧に依頼するのがポイントです。
「すみません、今日は給油しないんですけど、空気圧の点検だけお願いしても大丈夫でしょうか?」
先に「給油しない」と伝えておくことで、後から「給油は?」と聞かれる気まずさを回避できます。
もし店舗の方針で断られたとしても、「わかりました、ありがとうございます」と引き下がれば問題ありません。
ポイントは「クッション言葉」
いきなり要件を言うのではなく、「すみません」「お忙しいところ恐れ入りますが」といったクッション言葉を最初に挟むだけで、スタッフへの印象は劇的に良くなります。
人間関係の潤滑油として活用してみてください。
ここまで「店員さんに頼む方法」を解説してきましたが、実は自分でやってみると案外簡単で楽しいのが空気圧点検です。
自分でできるようになれば、混雑している時に店員さんを待つ必要もありませんし、自分の好きなタイミングで納得いくまで調整できます。
「愛車を自分でケアしている」という実感も湧いてきますよ。
ここからは、初めての方でも迷わず操作できるよう、ガソリンスタンドに設置されている機器の種類別操作方法や、プロが教えるコツを詳しく解説していきます。
3種類の空気入れの使い分け
一口に「空気入れ」と言っても、ガソリンスタンドによって設置されている機械のタイプが異なります。
大きく分けて以下の3種類がありますので、自分がよく行くスタンドがどのタイプかチェックしてみましょう。

【タイプA】持ち運び型(エアキャリー)
最も普及しているタイプで、金属製の丸いタンクや円筒形のタンクがついているのが特徴です。
フルサービスのスタンドでもよく使われています。
- 仕組み: 「親機(コンプレッサー)」から「子機(エアキャリー)」に空気を移し、そのタンクを車のところまで運んで使います。
- 使い方のコツ: 使う前に必ず親機に接続し、「シュー」という音が止まるまで空気をチャージしてください。チャージせずに持っていくと、途中で空気が足りなくなることがあります。
- 操作: レバーを握ると空気が入り(加圧)、レバーを離すと現在の空気圧が表示(計測)されます。入れすぎた場合は「減圧ボタン」を押して空気を抜きます。
【タイプB】デジタルプリセット型
最新のセルフスタンドや大型店舗で増えている、最も操作が簡単なタイプです。壁に固定されていたり、スタンド状になっていたりします。
- 仕組み: マイコン制御により、設定した数値に自動で合わせてくれます。
- 使い方のコツ: 最初に本体のボタン(+、-)で希望の数値をセットします。あとはホースを伸ばしてタイヤに繋ぐだけ。
- 操作: ホースを繋ぐと自動で充填が始まり、「ピーピーピー」や「END」などの音が鳴ったら完了です。何も考えずに正確な数値に入れられるので、初心者の方に一番おすすめです。
【タイプC】ダイヤル式タワー型(アナログ据え置き型)
少し古い店舗や洗車場コーナーによくある、時計のような大きな文字盤がついた固定式の機械です。
- 仕組み: ダイヤルを回して設定針を希望の数値に合わせます。内部構造はプリセット型に近いですが、アナログ感が強いです。
- 使い方のコツ: 音が頼りです。ホースを繋ぐと「チン、チン、チン(またはカン、カン)」というベルの音が鳴ります。
- 操作: このベルの音が鳴っている間は空気が流れている証拠です。音が鳴り止んだら設定圧になった合図なので、そこでホースを外します。「音が鳴り止むまで待つ」というのがポイントです。
| タイプ | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 持ち運び型 | 車の周りを自由に動ける。 微調整がしやすい。 | 事前にエア充填が必要。 タンクが少し重い。 |
| デジタル型 | 操作が圧倒的に簡単。 精度が高い。 | 設置場所まで車を移動させる必要がある。 パンクしていると反応しないことがある。 |
| ダイヤル型 | 頑丈で壊れにくい。 完了が音でわかる。 | 音が止まるのを待たずに抜いてしまうミスが起きやすい。 |
適正空気圧の数値や単位の見方
「使い方はわかったけど、結局どれくらい入れればいいの?」という疑問にお答えします。
実は、タイヤの適正空気圧は「タイヤそのもの」に書いてあるわけではありません。
答えはあなたの車の「運転席のドア」にあります。
正解は「ドア開口部」のステッカー
運転席のドアを開けて、ボディ側の柱(Bピラー)部分か、ドアの厚みの部分を見てください。
そこに黄色や白のステッカーが貼ってあるはずです。
これがメーカーが定めたその車の「指定空気圧」です。

- 前輪・後輪の違い: 車種によっては「前輪 230kPa / 後輪 210kPa」のように、前後で数値が違うことがあります。必ずそれぞれの数値を確認してください。
- 積載量による違い: ミニバンなどでは「軽積載(普段使い)」と「定積載(フル乗車・荷物満載)」で数値が分かれていることがあります。普段の状況に合わせて選びましょう。
単位は「kPa」が主流
現在の日本車や空気入れのほとんどは「kPa(キロパスカル)」という単位を使っています。
古い車や一部の輸入車では「kgf/cm2(キログラムフォース)」と書かれていることがありますが、ざっくりとした換算は以下の通りです。
100kPa ≒ 1.0kgf/cm2
(例:2.3kgf/cm2 と書いてあれば、230kPa に合わせればOKです)
「少し高め」がプロのセオリー
ここで重要なプロのコツをお伝えします。指定された数値ピッタリに入れるのではなく、「指定値 +10~20kPa(0.1~0.2kgf/cm2)」ほど高めに入れるのがおすすめです。
理由は2つあります。
1つ目は、タイヤの空気は自然に抜けていくため、少し多めに入れておくことで次回の点検までのマージンを稼げるから。
2つ目は、走行直後のタイヤは摩擦熱で温まっており、中の空気が膨張して圧力が一時的に高く表示されているからです(熱膨張)。
冷えた時に適正値に戻るよう、少し多めに入れておくのが正解なのです。
関連情報
タイヤの空気圧管理に関する専門的な情報は、日本自動車タイヤ協会の公式サイトでも詳しく解説されています。
(出典:日本自動車タイヤ協会『タイヤの空気圧』)
空気が入らない時の主な対処法
自分で空気入れに挑戦してみたものの、「シューッ!!」と大きな音がするだけで全然空気が入っていかない……。
そんな経験をして、「やっぱり自分には無理だ」と諦めてしまったことはありませんか?
あの大きな音がすると、タイヤの空気が全部抜けてしまいそうで怖いですよね。
でも、焦る必要はありません。空気がうまく入らない原因の9割は、実は機械の故障ではなく「ノズルの差し込み方」にあるんです。
ここでは、よくあるトラブルの原因と、誰でも一発で成功するためのコツを伝授します。
最大の原因は「ノズルの角度」
ガソリンスタンドの空気入れの先端(チャック)は、タイヤのバルブに対して「真っ直ぐ」「垂直」に押し当てないと弁が開かない構造になっています。

- NG例: ノズルが斜めになっている。これだと隙間から空気が漏れるだけで、タイヤ内部には入りません。「シューッ」という激しい音がし続けるのが特徴です。
- OK例: バルブの軸に対して一直線になるように構え、体重をかけてグッと押し込む。正しくハマると、音が「シュー」から「無音(または充填音)」に変わります。
コツは、「ビビらずに強く押し込むこと」です。女性の方など、力が弱い方は両手を使って体重をかけるように押し込んでみてください。
「ガチッ」と奥まで入る感触があるはずです。
ホイールカバーやキャップが邪魔している
意外と多いのが、ホイールのデザインやホイールカバー(キャップ)が邪魔をして、ノズルが奥まで届いていないケースです。
特に樹脂製のホイールカバーを付けている車の場合、バルブの周りの穴が狭くて、ノズルの先端がカバーに当たってしまい、バルブに密着できないことがあります。
この場合は、少しノズルを回転させて角度を変えてみるか、どうしてもダメならその一本だけホイールカバーを外して作業する必要があります(カバーは手で引っ張れば外れるものが多いですが、破損には注意してください)。
絶対に無理をしてはいけないケース
もし、タイヤが目に見えて潰れていたり、パンクしている可能性がある場合は、絶対に無理に空気を入れようとしないでください。
デジタル式空気入れの「エラー」に注意
デジタルプリセット型の空気入れは、接続した瞬間にタイヤ内の残留圧力を感知してスタートします。
しかし、パンクして空気が空っぽに近い状態だと、機械が「タイヤがつながっていない」と判断してしまい、エラー(E-01など)が出たり、無反応になったりします。
この状態で無理やり空気を送り込む操作(強制充填)を行うのは危険です。
タイヤ内部が損傷している可能性があるため、速やかに店員さんを呼んでプロの判断を仰いでください。
バイクや自転車への対応状況
「車のついでに、原付バイクや子供の自転車の空気も入れたいな」と思うこと、ありますよね。ガソリンスタンドには立派なコンプレッサーがあるのですから、何でも使えそうな気がします。
しかし、実はガソリンスタンドの空気入れは、基本的に「四輪自動車」に入れることを前提に設計されています。二輪車に使おうとすると、思わぬ落とし穴があるのです。
バイク(自動二輪・原付)の場合
バイクのタイヤバルブは車と同じ「米式」なので、理論上は接続可能です。しかし、問題は「物理的な干渉」です。
バイクのホイールは車と違って、ブレーキディスクやチェーン、スポークなどが入り組んでいます。
ガソリンスタンドにある棒状のノズル(ストレートチャック)だと、これらの部品にぶつかってしまい、バルブに真っ直ぐ差し込めないことが非常に多いのです。
- 解決策: ノズルの向きを90度変えるための「L字型アダプター」が必要です。
- 注意点: 店舗によってはアダプターの貸し出しを行っていますが、置いていない店舗も多いです。バイクで利用したい場合は、自前のアダプター(バイク用品店で数百円で売っています)を持参するのが確実ですよ。
自転車(ママチャリ・クロスバイクなど)の場合
自転車の場合はさらに事情が複雑です。
なぜなら、バルブの規格そのものが違うからです。
| バルブの種類 | 主な車種 | ガソリンスタンドでの利用 |
|---|---|---|
| 米式バルブ | 自動車、バイク、一部のマウンテンバイク | そのまま利用可能 |
| 英式バルブ | ママチャリ、シティサイクル(一般的な自転車) | 利用不可(専用クリップが必要) |
| 仏式バルブ | ロードバイク、クロスバイク | 利用不可(専用アダプターが必要) |
多くの店舗では、ママチャリ用の「英式バルブクリップ」を用意してくれていますが、全ての店舗にあるわけではありません。
また、自転車のタイヤは車に比べて空気の容量が非常に小さいため、業務用のハイパワーなコンプレッサーで一気に空気を入れると、一瞬でチューブが破裂(バースト)する危険性があります。
自転車への空気入れは慎重に!
もし自転車用のアダプターを借りられたとしても、レバーを全開に握らず、「シュッ、シュッ」と小刻みに少しずつ入れるのが鉄則です。
自信がない場合は、自転車屋さんの空気入れを利用した方が安全ですよ。
点検頻度とメンテナンスの重要性
最後に、最も大切な「頻度」と「なぜやるのか」というお話をさせてください。
「面倒くさいから車検の時だけでいいや」なんて思っていませんか?
その油断が、実は大きな経済的損失と命の危険を招いているかもしれません。
空気は「何もしていなくても」抜けていく
タイヤのゴムは、肉眼では密閉されているように見えますが、分子レベルで見ると隙間だらけです。
風船を放置しておくと萎んでいくのと同じように、タイヤの空気も自然に外部へ透過して漏れ出していきます。
一般的に、乗用車のタイヤは1ヶ月で約5%~10%(10~20kPa程度)の圧力が自然低下すると言われています。
つまり、3ヶ月放置すれば30%~50kPa以上も減ってしまう計算になります。
これは、パンクしていなくても起こる自然現象なのです。
空気圧不足が招く3つのリスク

空気圧が減った状態で走り続けると、良いことは一つもありません。
- お財布へのダメージ(燃費の悪化):
タイヤが潰れた状態で走ると、地面との抵抗が増えてエンジンのパワーを余計に使います。JAFのテストデータによると、空気圧が適正値より30%低下すると、市街地走行で燃費が約4.6%悪化するという結果が出ています。ガソリン代が高い今、これは見過ごせませんよね。
(出典:JAF(日本自動車連盟)『タイヤの空気圧不足が燃費に与える影響』) - タイヤ寿命の短縮(偏摩耗):
空気圧が低いと、タイヤの両端(ショルダー部)ばかりが地面に強く当たり、そこだけが異常に早くすり減ってしまいます。数万円もするタイヤの交換時期が早まってしまうのは非常にもったいないです。 - 最悪の事故リスク(バースト):
これが一番怖いです。空気圧が低いまま高速道路を走ると、タイヤが波打つように変形する「スタンディングウェーブ現象」が発生しやすくなります。これが起きるとタイヤが異常発熱し、最終的に破裂(バースト)します。高速走行中のバーストは、制御不能な大事故に直結します。
おすすめのルーティンは「月に1回」
これらのリスクを避けるために、私は「月に1回の点検」を強く推奨しています。
毎月1日を「タイヤの日」と決めたり、あるいは「給油3回につき1回は必ずチェックする」といった自分なりのルールを作ってしまうのがおすすめです。
最近の車はメンテナンスフリー化が進んでいますが、タイヤの空気圧だけは、まだドライバー自身が管理しなければならない数少ない項目です。
たった5分程度の無料作業で、燃費が良くなり、タイヤが長持ちし、何より家族や自分の命を守れるのですから、やらない手はありませんよね。
まとめ:セルフガソリンスタンドでの空気圧の頼み方
いかがでしたでしょうか。
今回は、「ガソリンスタンド 空気圧 頼み方 セルフ」と検索してこの記事にたどり着いたあなたに向けて、店員さんへのスマートな頼み方から、自分で実践するためのテクニックまでを完全網羅して解説してきました。
最後に、もう一度大切なポイントをおさらいしておきましょう。

この記事のまとめ
- 空気圧点検はセルフでも基本無料。店員さんへのチップも不要。
- 頼むなら「給油来店時の最初」がベストタイミング。「給油ついでに」が魔法の言葉。
- 自分でやる場合、タイヤの指定空気圧は「運転席のドア」を見て確認する。
- 空気圧は自然に抜けるもの。月に1回の点検習慣が、安全と節約の鍵。
最初は「店員さんに声をかけるのが恥ずかしい」「機械の使い方がわからなくて怖い」と思っていたかもしれません。
でも、ここまで読んだ今のあなたは、もう立派な「空気圧点検マスター」の知識を持っています。
ガソリンスタンドのスタッフさんは、安全意識の高いお客様を歓迎してくれます。
次回の給油では、ぜひ勇気を出して「空気圧、お願いします!」と声をかけてみてください。
あるいは、記事を片手に自分でエアキャリーを使ってみてください。
その小さな一歩が、あなたのカーライフをより安全で、快適なものに変えてくれるはずですよ。

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